5Gは3つの周波数帯(しゅうはすうたい)を使用している。 3.7GHz帯(ギガヘルツたい),4.5GHz帯,28GHz帯の内、最も高い周波数帯である28GHz帯は、対応しているスマホやタブレットがまだ少ない。従来使用されていた電磁波の周波数よりも一桁高いので、期待も大きい。 この一クラス上の周波数帯(30~300GHz)は、ミリ波(波長がミリメートルクラスの電磁波)と呼ばれている。筆者は30年ほど前、とある国立研究所で実験をさせていただいたことがある。その研究所には世界最先端の機材が置いてあり、当時は50~60GHz帯を対象に、例えば自動車同士の通信手段として用いることで、衝突防止や安全な追い越しを可能にする最先端技術:スマート道路の可能性を探っていた。
実はこの周波数帯には、頭の痛い問題があった。それは電磁波が雨に吸収されやすいことである。例えば、屋外の道路を走っている車の場合、その時々の天気によって衝突防止機能の「安定性」が変わってしまう可能性が否定できないのである。このようなことはあってはならないので、当時は室内での利用に焦点を絞り研究開発を進めた記憶がある。
あれから30年。時代は進み、ミリ波の一歩手前まで電磁波の活用が近づいて来た。世界の研究者・技術者たちに、敬意を表したい。