気に入った土地が鉄道沿線…

電磁波対策 相談 1」では、アルミホイルが電磁波対策に使えることに驚いた方が多いようでした。また、対策を考える上で大切なことの一つとして、対策を「①発生源側」「②影響を受ける側」「③発生源側と影響を受ける側の間」のどこで実施するかを考えること、そして、前回は「③発生源側と影響を受ける側の間」の一例をお伝えいたしました。

Q:新しい家を建てたいと思い、敷地を探しています。たまたま駅チカの気に入った土地が、鉄道沿線にありました。鉄道は電気を使っているので、電磁波が出ているのでしょうか?出ているとすれば、スマホなどの電磁波とどのように違うのでしょうか?また、どのように対策すれば良いのでしょうか? 電磁波の健康への影響が気になっているため、教えて下さい。

気に入った土地が鉄道沿線…

A:新しい家の候補地が鉄道沿線となると、気になりますね。ご質問は3つありますので、一つずつお答えしていきましょう。

まずは1つ目「鉄道から電磁波が出ているか?」についてお答えします。答えは、電磁波は出ています。特に出ているのは、電車を動かすための電気が流れている「き電線、トロリー線、線路(レール)」です。き電線とトロリー線は、電車のパンタグラフが接している高さ付近に通っている電線です。電車を動かすための電気の流れ=電流の経路を下図のオレンジ色の矢印で示します。電流は、「変電所」から「き電線、トロリー線」を通り、電車の「モータ」へ供給され、「線路(レール)」を通り、「変電所」へ帰って来ます。電磁波は、この電流が流れる経路全体から発生しています。つまり、鉄道沿線全体で電磁波は発生しているのです。

鉄道から発生する電磁波の発生源は、電流が流れる経路全体

では、ご質問の2つ目「スマホなどの電磁波とどのように違うのか?」について、お答えします。ざっくりと言いますと「かなり違うタイプの電磁波」です。さらに細かく言えば、直流方式と交流方式に分かれていますので、ここでは、首都圏・中京圏・関西圏・本州の都市部や私鉄路線で主流となっている「直流方式」を対象に話を進めたいと思います。

直流方式の電流経路からは、直流の磁場(電磁波の一種)が発生します。電車の加速・減速に合わせて電流値が変化しますので、磁場も非常にゆっくりと変動します(直流変動と呼びます)。周波数で言えば1Hz以下ですので、例えばスマホのGHz帯(10億Hzの領域)とは、かなり性質が異なります。例えば、対策にアルミホイルを使うことはできません。なぜならば、アルミは、直流の磁場を透過させる性質を持っているからです。

ご質問の3つ目「どのように対策すれば良いか?」について、お答えします。まず、在来線について経験的に申し上げれば、「鉄道から発生する磁場が原因の体調不良」は聞いたことがありません。周波数が1Hz以下と低く、どちらかと言えば家庭用磁気治療器で使われている領域に近い磁場と言えると思います(但し、家庭用磁気治療器に比べると、この磁場は格段に弱いです)。沿線に住む人が個人的に対策する事例は、あったとしてもかなり希少と思われます。

【豆知識:昔あった鉄道沿線の電磁波対策例】

ブラウン管テレビが普及していた時代は、鉄道沿線の磁場が原因でカラーテレビの色ずれ(変色)が発生するケースがありました。その対策として、シールド素材を使用せずに電磁波を減らす方法(発明技術)をご紹介します。

ブラウン管テレビ

この対策は、冒頭で触れた3つの対策場所の内「①発生源側」で実施します。電磁波の発生源となる電流経路の中で、唯一動かせるのは「き電線」です。このき電線を線路(レール)近くまで持って来ると、お互いに電流の流れる向きが反対なので、発生している磁場の向きも反対であり「打ち消し合う」作用が働きます。このき電線の最適な位置をコンピュータ・シミュレーション等によりあらかじめ計算しておき、その位置へ精密に移設工事すると、電磁波が激減することが判っています。

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