MRIの画像にノイズが入る…

電磁波対策 相談 2」では、鉄道沿線の電磁波について、発生源となる電流や、スマホで活用している電磁波との違いなどについてお伝えいたしました。また、対策を考える上で大切な3つの視点、「①発生源側」「②影響を受ける側」「③発生源側と影響を受ける側の間」の内、「①発生源側」の対策例として「き電線の移設」をご紹介しました。さて、今回はどのようなお悩みでしょうか…

Q:当院では、2台のMRIを使用しています。最近、1台目のMRIの画像にノイズが入り始めました。MRIを導入したての頃は、綺麗な画像だったのですが、2台目のMRIを導入してから、1台目の画像に白っぽいノイズが入り出し、そのままの状態が続いています。MRIを新しいタイプへ交換するには多大な費用がかかりますし、MRI装置のメーカーさんにも相談したところ、どうやら装置の故障や不具合などではなさそうです。診断は問題無く続けることができているのですが、何とか解決できないものでしょうか?また、もし手軽にできる対策方法があれば、教えて下さい。

MRIの画像にノイズが入る…

A:お困りですね。まずは原因の特定から始めましょう。

MRIに影響を与える電磁波ノイズは、電波と磁気の2種類あります。今回は「画像に白っぽいノイズ」ということですので、原因は電波です。因みに、磁気が原因の場合は、画像が歪みます。

今回の症状の場合、原因として最初に疑うべきはシールドルームの故障/不具合です。全てのMRI装置は高性能なシールドルームの中に入っており、MRI装置は電波ノイズから守られています。ここでの「高性能」とは、例えば部屋の外から来た電波ノイズが100億分の1以下に減衰するレベルのことを意味しています。その意味では、「電磁波対策 相談 1」で紹介したように、アルミホイルで簡易的に対策できるわけではありません。

でも、ご安心ください。いただいたご質問の中身から、原因は大体推測できますし、比較的簡単な対策方法で問題が解決できる可能性があります。MRI装置を守っているシールドルームの中で最も壊れ易いのは、可動部であるドア周りです。壁・床・天井は動きませんので、滅多に壊れることはありません。ドアは特殊な構造をしており、特にドアとドア枠との接合部に「フィンガー」という部材を使っています。ドアが閉まった際に、このフィンガーがドアとドア枠との電気的接触を構成し、高いシールド性能を確保しているのです。

フィンガーの一例

ご相談のようなケースでは多くの場合、このフィンガーが何らかの原因で欠けています。欠けている部分から、2台目の新しいMRIで使用している電波が、1台目の古いMRIの検査室の中へ入って来てしまうのです。フィンガーは、電磁波シールドの専門企業へ依頼すれば取り換えてくれます。元々は、ドアの開閉回数に応じて劣化する部材ですので、定期点検を依頼するのもお薦めです。

多くの場合、フィンガーの交換で画像ノイズが収まります

【豆知識:院内の掃除にご用心!?】

MRI画像ノイズの原因の殆どを占める「フィンガーの欠け」。実は、ドアの開閉による経年劣化に加え、気を付けなければならない注意点があります。それは、掃除の際の掃除機の「電源コード」が引っ掛かることによる「フィンガーの欠け」です。ドアの下部には、ドア枠の沓摺(くつずり)との電気的接触を確保するために、フィンガーが取り付けられています。フィンガーはドアの開閉のし易さ・軽量化・低コスト化等の意味があり、薄い板で作られています。掃除の際は、十分にご留意ください。

コチラにも詳しい情報が載っていますで、ご覧ください。

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